園芸学会雑誌
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カキ数品種の in vitro でのシュート増殖と発根
村山 秀樹田尾 龍太郎田中 辰美杉浦 明
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1989 年 58 巻 1 号 p. 55-61

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抄録
カキ7品種 (‘平核無’, ‘次郎’, ‘花御所’, ‘会津身不知’, ‘絵御所’, ‘黒柿’及び‘西村早生’-普通系統とわい性系統) の休眠芽を供試して, in vitro での茎頂部外植片の定着とシュート増殖に対するサイトカイニンの影響, 及び増殖シュートの発根に対するIBAと暗黒処理の影響を検討した.
1. MS培地の NO32- を半量とした基本培地を用いてサイトカイニンの種類 (BAと2iP) と濃度 (1~20mg•l-1) が‘次郎’及び‘黒柿’の外植片の定着に及ぼす影響を調べた. その結果, 定着に好適な濃度は, ‘次郎’では BA 5mg•l-11, 2iP 5~20mg•l-1, ‘黒柿’ではBA2~5mg•l-1, 2iP 5~10mg•l-1であり, 品種間で多少の相違が認められた. 定着の程度は‘黒柿’でやや劣った. また, その他の品種は BA 5mg•l-1添加培地でよく定着したが, ‘花御所’のみ定着不良であった.
2. BA5mg•l-1 添加培地で定着させ, 継代を続けた‘次郎’, ‘会津身不知’, ‘絵御所’, ‘黒柿’及び‘西村早生’2系統のシュート増殖と伸長に対するサイトカイニンの効果を調べた. シュート増殖に対してはBAの効果が大きく, シュート伸長に対しては2iPの効果が大きかった. また, シュートの増殖と伸長に対するBA, 2iPの好適濃度はおおむね 5mg•l-1であった. なお, ‘西村早生’2系統間でサイトカイニンに対する反応に差異が認められ, わい性系統の方が普通系統より強く反応した.
3.‘平核無’の増殖シュートの発根に対する暗黒処理の効果とIBA浸漬処理の好適濃度を検討した. 暗黒処理は発根を促進し, 9日間の処理で最大の発根率を示した. IBAの好適濃度は250mg•l-1であった. この好適2条件を組合せて‘次郎’, ‘会津身不知’, ‘絵御所’及び‘黒柿’のシュートを発根させたところ, 最終発根率はそれぞれ80%, 74%, 44%, 8%となり, 品種間で大きな差異が認められた.
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