抄録
わい化効果や着果が良好と思われるニワウメ台木から誘発させたひごばえを用いて, 茎頂の培養培地組成を検討した.
1. サイトカイニンが置床後の外植体の芽数増加に及ぼす影響を調べた結果, 芽数の増加はBA 1ml/l, 2iP?54 石田雅士•松山剛士•北島 宣•傍島善次2mg/lで著しく, これより濃度が高い場合には生育が抑制された.
2. シュート増殖培地では, BA 0.5mg/lの区がシュート数, 平均シュート長ともに優れ, その生育も良好であった.
3. 茎頂3mm, 茎頂のみと外植体の大きさが小さくなるにしたがって, その生存率が低下した.
4. 糖源としてソルビトールを用いると, シュートの本数が明らかに多くなった.
5. 窒素源として硝酸態とアンモニア態窒素の両者が存在した場合, 外植体の生育は良好であった. 窒素の濃度に関しては, MS基本組成の1/3, 1/2倍濃度で, 芽の分化も多く, 生育も盛んであった.
6. 発根は, シュート基部を IBA 50ppm 浸漬処理した場合, 発根培地にオーキシンフリー培地を用いるのが良好であった.