園芸学会雑誌
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多変量解析によるボタン品種の形態的分類
浜田 守彦細木 高志稲葉 久仁雄
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1989 年 58 巻 3 号 p. 697-704

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抄録
ボタンの多様な育種目標に必要な基礎資料を得るために, 花および茎葉の形態的特徴を用いて主成分分析及びクラスター分析を行った.
1. 主成分分析の結果, 第1主成分は花茎長や葉長等と相関が高かった. 第2主成分は葉数や腋芽数等と相関が高かった. 第3主成分は, 花蕾の大きさ等と相関が高かった. 各品種の主成分スコアを用いた平面座標上で, 各品種は分散し, 種間雑種である‘金閣’や‘金鵄’は明らかに他の品種群と区別された. またそれらを区別している主な形態的特徴は花茎長, 花首の長さや葉の大きさ, 花弁数などであった.
2. クラスター分析では, 6品種群に分けることができた. ‘花大臣’と‘鎌田藤’の交配種である‘群芳殿’はそれら2品種と同じ群に属した. 同様に‘花競’の実生である‘八束獅子’は‘花競’と同じ群に属した. 中国育成の‘明治の誉’は他の日本品種と明らかに区別できた. 種間交雑である‘金閣’, ‘金鵄’は他の品種と異なる群に属した.
3. 主成分分析とクラスター分析の組み合わせによって, 従来の花型を中心とした分類では困難であった鉢栽培適性品種の作出など, 多様な育種目標のための紀材の検索も容易にするものと思われる.
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