園芸学会雑誌
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高濃度炭酸ガスが種々の青果物の呼吸活性に及ぼす影響
久保 康隆稲葉 昭次中村 怜之輔
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1989 年 58 巻 3 号 p. 731-736

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抄録
60% CO2+20% O2+20% N2環境下での各種青果物の呼吸活性をコンピュータ制御による自動ガス代謝計測装置を用いてO2吸収量について測定した. 成熟中のメロンとリンゴでは, 60% CO2 下で呼吸活性が空気中の約半分にまで抑制された. 成熟トマトとバナナでも高CO2 による顕著な呼吸活性の抑制がみられたが, プレクライマクテリック段階では高CO2による呼吸活性の変動はほとんどみられなかった. ブロッコリーでも成熟したクライマクテリック型果実の場合と同様に高CO2による顕著な呼吸活性の抑制がみられた. 高CO2処理はジャガイモ, サツマイモ及びキャベツの呼吸活性には全く影響を与えず, ナツダイダイ, レモンにもわずかな変化しか起こさなかった. レタス, ナス及びキュウリでは,高CO2処理中に顕著な呼吸活性の促進がみられた.
以上の結果から高CO2に対する呼吸反応は青果物の種類や果実の成熟段階により全く異なることが明かとなり, 従来から考えられている高CO2の呼吸抑制作用には疑問があるように思われた.
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