園芸学会雑誌
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ネクタリン幼果の気孔の発達と分布密度
石田 雅士平田 元北島 宣傍島 善次
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1990 年 58 巻 4 号 p. 793-800

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抄録
果実の気孔が果実発育にどのようにかかわっているのかの基礎資料を得るために, ネクタリン果実を用い, 果実表面の気孔の発達, 密度及び気孔開度の日変化について調べた.
1. 果実発育第1期の5月初旬, 果実の発育が最も盛んな時期に, 気孔は急速に発達した.
2. 気孔の密度は, 赤道部が最も高く(1.2×104個/cm2), 他の部分は低かった. また, 縫合線部には気孔は存在しなかった.
3. 気孔は果頂部で大きく, よく発達していたが, 果底部へ行くにしたがって小さくなり, 未発達の気孔が多く認められた.
4. 気孔開度の日変化は, 日中と深夜に2つのピークを示した. また, 暗処理した果実でも夜間に気孔は開いていた.
これらの結果から, 果実の気孔は夜間や暗処理した場合も開いて, ガス交換を行っていることが示唆された. したがって, 果実の気孔は明らかに葉とは別の生理的機作をもつことが推察された.
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