園芸学会雑誌
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樹冠内•外層の着果位置別にみたウンシュウミカン果実の発育中における糖とアスコルビン酸含量について
泉 秀実伊東 卓爾吉田 保治
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1990 年 58 巻 4 号 p. 877-883

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抄録

日照条件が, 発育中のウンシュウミカン果実の品質に及ぼす影響を明らかにする目的で, 樹冠内•外層に位置する果実の発育中における果汁中の糖とAsA含量について調べた.
1. 果実の肥大量, 果皮色(a/b値), 果汁中の可溶性固形物含量は, 樹冠外側の果実の方が内側に比べて高く, 酸濃度は内側の果実の方が高かった.
2. 果汁中の糖は, ブドウ糖, 果糖及びショ糖とも発育期間中を通じ, 樹冠の外側の果実の方が内側より高い含量を示した. 糖含量を果汁100ml当りで表すと, 発育期間中樹冠内外の果実の差はほぼ一定であったのに対し, 1果当りで表すと果実の発育に伴ってその差は大きくなった.
3. 果汁中のAsA含量は, 果汁100ml当りで表すと, 樹冠外側の果実は内側に比べ発育期間中ほぼ一定の割合で高かった. これを1果当りに換算すると, 樹冠内外の果実のAsA含量の差は発育に伴って大きくなった.
4. 発育中の1果当りで示したショ糖, ブドウ糖及び果糖含量とAsA含量との間には, いずれも0.98**の高い相関係数が認められた.
5. 果実発育期間中に果実への遮光処理を施すと, 成熟期における果汁中のショ糖とAsA含量は減少を示した.

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