抄録
KT-30処理がキウイフルーツ果実 (品種モンティ)の生育と含有成分に及ぼす影響を経時的に検討するとともに, 組織中のデンプン粒について光学顕微鏡による観察を行った.
1. キウイフルーツの平均果重はKT-30処理によって無処理果よりも約35~42日早く増加する傾向がうかがわれた. また処理により受粉後170日目の果実は無処理果にくらべて約1.4倍の重量を示し, 処理による果実の肥大効果がみられたが, 変形果もみられた.
2. 組織中のデンプン粒は処理果及び無処理果とも受粉後63日目より果肉部に, また受粉後105日目より果心部に観察された. デンプン粒の数には差異がみられなかった.
3. 果実に含まれる糖は処理果及び無処理果ともに果糖, ブドウ糖並びにショ糖が検出された. 糖の含有量は処理果の方に多く, KT-30処理により成熟の促進されていることがうかがわれた.
4. 遊離有機酸としてクエン酸とキナ酸が検出された. 遊離有機酸は無処理果にくらべて処理果の方に多く含有されていた.
5. 生育期間中における全ペクチン量の経時的変化は処理果及び無処理果ともに同様な傾向を示した. 量的には無処理果にわずかながら多く含有されていた. 処理果及び無処理果ともに全ペクチン量の大部分をHSPが占めていた.
6. 無処理果では生育に伴って果肉の緑色が濃くなるのに対し, 処理果では淡くなる傾向が肉眼的にも明瞭に観察された. クロロフィル含量は無処理果が生育に伴って増加する傾向を示すのに対し, 処理果では減少する傾向を示した.