園芸学会雑誌
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イチゴ果実の二重S字型生長特性
三浦 周行今田 成雄薮内 聡子
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1990 年 59 巻 3 号 p. 527-531

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抄録

1株に3個の花(果実)のみ残し, 他の花は切除したイチゴ‘麗紅’を環境制御室(明期12時間•315μmolm-2sec-1•16°C, 暗期12時間•13°C)内で育て, 各果実の大きさを開花受粉数日後から1日置きに調査した. いずれの果実も開花後5~7日の初期と, 第1果(1番果), 第2果, 第3果(共に2番果)それぞれ35, 28, 36日の後期に急速に生長し, 二重S字型生長特性を示した. 第1果(1番果)のみ着けた実験(明期14時間•185μmolm-2sec-1•20°C, 暗期10時間•17°C)でも, 果実の生長のピークは5~7日と23日であったのに加え, そう果の径は5~9日に, 果実の乾物重および乾物重当たり糖濃度は17日以降急速に増加した.
初期の果実生長のピークにおいては, そう果が受精により急速に生長するのに伴い, 花床部も生長を開始して, 着果が完了し, 後期のピークでは花床部に多量の光合成産物が転流し, 再び花床部が急速に肥大するものと考えられた.

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