園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
水耕培養液の窒素形態とpHがそ菜の銅過剰障害に及ぼす影響
大沢 孝也田附 明夫
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 59 巻 3 号 p. 519-525

詳細
抄録

培養液のN形態とpHがそ菜のCu過剰障害に及ぼす影響について検討するため, インゲンマメ, ホウレンソウ, レタス, ハツカダイコンを供試して水耕試験を行った. Cuは0.02, 0.3, 1ppmの3レベル, Nは全N濃度を12me/l一定としてNO3, NO3+NH4(1:1), NH4の3区, pHは4, 6の2レベルとし, これらの組み合わせによる18処理区を設けた.
1. Cu標準レベル(0.02ppm)における生育は, 各そ菜ともNO3, NO3+NH4両区では良好なのに対して, NH4区ではレタス以外は著しく劣った. またインゲンマメ以外では, pH 6の方がpH 4より生育が優れた. Cu高濃度処理による生育阻害は, pH 6よりもpH 4の方が著しかった. PH 4では, NO3区よりもNO3+NH4区の方がCu害を軽減する効果を示すことから有利であったが, NH4区ではNH4害のため同様の効果は認められなかった.
2. 各そ菜とも葉より根に高濃度のCuを蓄積し, その較差はCu高濃度区ほど大きかった. また根中のCu蓄積は, おおむねpH 6よりpH 4の方が著しかった. これは培養液中のCuとFeに随伴するEDTAの錯結合がpHに影響される結果, pH 4の方がCu2+濃度が著しく高いためと考えられた. NH4施用は根中のCu蓄積を抑制する効果があった. 一般にNO3, NO3+NH4両区では, 根中のCu蓄積と生育阻害との間に等しく密接な関係が認められた.しかし, NH4区ではこれら両区と著しく異なった関係がみられ, とくにホウレンソウとハツカダイコンでは, 根中Cu含有率とは無関係に生育量がほぼ一定して低かった.

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top