園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
大果系イチゴ‘愛ベリー’の果実形質, 収量と窒素施肥量, 苗質との関係
吉田 裕一大井 美知男藤本 幸平
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 59 巻 4 号 p. 727-735

詳細
抄録

大果系イチゴ (Fragaria×ananassa L.)‘愛ベリー’について, 元肥窒素施肥量 (0,10kg/10a) と苗質が収量構成と果実の奇形果発生に及ぼす影響について検討した. 育苗方法はポット育苗 (標高1200, 20m) と無仮植育苗 (苗床窒素量: 0, 6kg/10a) とし, 無仮植育苗区については着地発根時期の異なる2種類の苗 (7月下旬, 8月下旬) を供試し, 合計6種の苗を用いた.
多窒素施肥 (10kg/10a) によって頂花房の開花期は早くなり, 花数は増加した. しかし, 小果 (20g未満) の割合が増加し, 正常な大果収量と総収量は低下した. ポット苗と無仮植育苗の大苗 (7月下旬発根) では頂花房花数が多く, 小果の割合が高かった. 無仮植育苗の小苗 (8月下旬発根) では正常な大果 (30g以上) 収量が多く, 窒素施肥の影響も小さかった.
頂花房の花数と30g以上の果実収量, 正常果収量との間に強い負の相関が認められ, 頂花房花数を少なくする条件, すなわち, 生育初期の低窒素栄養, 小苗定植によって正常な大果収量が増加した.

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top