園芸学会雑誌
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和梨の石細胞に關する二•三の觀察
三木 泰治
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1935 年 6 巻 1 号 p. 8-25

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抄録
1. 梨の果肉中の石細胞の發育過程及之が大小分布等に就き日本梨を材料として觀察研究する所があつた。
2. 日本梨の石細胞は開花又は授粉後10日内外にして柔細胞中に形成せられ, 其後急速に發達し, 40-55日にして其彈性を失ひ收縮し, 爲に周圍の柔細胞を牽引して放射状を呈せしむる。
3. 石細胞膜は發現後急激に肥厚し, 60-70日にして最高の厚さに達し, 其後は成熟期に至るに從ひ少しく其厚度を減ずる。日本梨の品種に依り其發育過程及成熟果に於ける石細胞膜の厚度を異にする。
4. 日本梨の品種に依り果心の中央を通ずる横斷面及縱斷面に於ける石細胞群の分布密度及大小石細胞群の混合比率を異にする。此事は日本梨の果實の品質を決定する上に於て相當考慮すべき重要事項の一に屬する。
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