園芸学会雑誌
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枇杷の耐寒性に關する研究 (第2報)
人工低温に依る枇杷の耐寒限度に就て
三木 泰治永澤 勝雄
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1935 年 6 巻 2 号 p. 183-196

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抄録

1. 人工低温に依り枇杷の若干品種に就き耐寒性に關する實驗を行ふ所があつた。
2. 自然状態又は漸次に低温に暴露するやうに操作する人工低温の下には枇杷の生殖器官は先づ胚珠又は種子に凍害を受け, 次いで胎座及中•外果皮等を犯さるるも, 花托の皮層に相當する果肉部を犯さるること稀なるに反し, 急激に低温に暴露するときは之と逆に花托の皮層部及中•外果皮並に胎座を先づ犯し, 胚珠又は種子等を犯すことは稀である。
3. 供試品種の範圍内に於て枇杷は攝氏零下2度乃至4度に30分乃至1時間暴露するも顯著なる凍害を示すことがないが, 零下5度に於ては品種により相當顯著な被害があり, 零下7度に於ては品種の如何を問はず重要なる被害を蒙むるものである。
4. 自然状態及人工低温に依る枇杷の生殖器官の耐寒性並に鹽素酸加里法に依る枇杷の營養器官の耐寒性檢定成績は比較的一致する品種と必ずしも一致せざる品種との兩樣があることを示して居る。

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