園芸学会雑誌
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6 巻, 2 号
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  • 菊池 秋雄, 井口 透
    1935 年6 巻2 号 p. 177-182
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 人工低温に依る枇杷の耐寒限度に就て
    三木 泰治, 永澤 勝雄
    1935 年6 巻2 号 p. 183-196
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 人工低温に依り枇杷の若干品種に就き耐寒性に關する實驗を行ふ所があつた。
    2. 自然状態又は漸次に低温に暴露するやうに操作する人工低温の下には枇杷の生殖器官は先づ胚珠又は種子に凍害を受け, 次いで胎座及中•外果皮等を犯さるるも, 花托の皮層に相當する果肉部を犯さるること稀なるに反し, 急激に低温に暴露するときは之と逆に花托の皮層部及中•外果皮並に胎座を先づ犯し, 胚珠又は種子等を犯すことは稀である。
    3. 供試品種の範圍内に於て枇杷は攝氏零下2度乃至4度に30分乃至1時間暴露するも顯著なる凍害を示すことがないが, 零下5度に於ては品種により相當顯著な被害があり, 零下7度に於ては品種の如何を問はず重要なる被害を蒙むるものである。
    4. 自然状態及人工低温に依る枇杷の生殖器官の耐寒性並に鹽素酸加里法に依る枇杷の營養器官の耐寒性檢定成績は比較的一致する品種と必ずしも一致せざる品種との兩樣があることを示して居る。
  • 須佐 寅三郎
    1935 年6 巻2 号 p. 197-204
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    以上の實驗により, 其結果を摘録すれば次の如くである。
    1. 苹果の花粉は培養基に於て, 直ちに破裂するものあるが, 幾分花粉管の伸長したる後破裂するものが多い。
    2. 破裂は蔗糖液培養基の濃度を急激に稀薄する場合に最も多く起る。
    3. 破裂は花粉管の先端よりするもの最も多いが, 其基部又は途中よりするものもある。
    4. 花粉管の異状は破裂が主であるが, 先端膨脹が起る場合もある。
    5. 膨脹は培養基濃度の高い時に多い。
    6. 故に花粉管の破裂及び膨脹現象は, 所謂有毒物質に止まらず, 蔗糖液の如き營養物質に於ても, 其濃度によつて起る膨壓と花粉管壁の強靱性による事が多いと思ふ。
    7. 花粉管壁の強靱性が, 内容物質の膨壓に堪え得れば異状なし, 稍弱ければ膨脹起り, より弱ければ破裂となる。
    8. 從つて花粉交配に於て, 自家交配なると, 他家交配なるとを問はず, 花粉管の外圍溶液の濃度が變化される場合は, 不稔となる率が多くあると思ふ。
    9. 之を實際問題上に考察するに, 花粉が昆蟲其他の媒介者により, 柱頭に運ばれ, 柱頭分泌物を吸引して發芽し, 直ちに花柱溝 (stylar canal) を降下する時, 又は降下しつゝある時, 若し降雨あり分泌物の濃度を急に稀釋すれば花柱内の花粉管は夥しく破裂すると思ふ。其破裂の程度は花粉管の深さ, 花粉の種類, 新舊, 貯藏條件, 分泌物の濃度等により, 異なるは勿論, 氣壓, 温濕度との關係が多い事と思ふ。
    10. 此問題は北日本に於ける苹果の重要病害, 實腐病及び不完全受精との關係が特に深いやうに思はれる。即ち受粉と病害胞子が同時に柱頭上に發芽し, 花柱溝を同時に降下する時, 若し降雨があれば, 花粉管は破裂するが,胞子は破裂しない。故にかゝる場合は大部分實腐病に冒される譯である。若し胞子が接種されず, 花粉のみ發芽して花柱溝を降下する時, 雨滴が柱頭につけば, 花柱内の花粉管は破裂するもの多く不完全受精即ち不稔 (俗稱カラマツ) となるものが多いと思ふ。
  • 大井上 康
    1935 年6 巻2 号 p. 205-211
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 葡萄の挿木に於て活着後新生される生體量は或る形態學的範圍内に於ては挿穗體片の量大なる程大である。
    2. 從つてかゝる場合に於ては LOEB の云ふ通り質量相關律が成立するやうに思へる。
    3. 然し挿穗體片が形態學的に (葡萄では節間ならん) 一定以上の擴を存する時には質量相關律は成立しない。
    4. 故に新生に直接干渉する範圍を榮養の場と名づける, そして此の範圍外の貯藏榮養素は新生に少しも役立たないものと見なし得る。
  • Yasusi OINOUE
    1935 年6 巻2 号 p. 212-216
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. Increase of physiological carbohydrate does not necessarily augment the percentage of fertilized berries of Muscat of Alexandria.
    2. For weak canes which shell flowers sugar injection is ineficacious to give more fertilized berries to clusters of Muscat of Alexandria.
    3. On the contrary for such canes asparagin injection is effective to help the good set.
    4. Very vigorous canes increase the percentage of fertilized fruits being injected with carbohydrate as well as moderately vigorous canes do without any injection.
  • 江口 庸雄, 加藤 照孝
    1935 年6 巻2 号 p. 217-221
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) 葱頭の花粉と濕度との關係に就て發芽試驗を行つた。
    (2) 葱頭の花の花粉は比較的乾燥に強く乾燥器内の貯藏で7日目まで20%内外の發芽率を持つた。
    (3) 室内に放置された花粉は翌日まで充分の發芽力を持つて居たが2日目から急激に發芽率を低下して居る。
    (4) 水滴上に置かれた葱頭の花粉は5分間で全く發芽力を失つて居る。
    (5) 過濕状態に置かれた葱頭の花粉は5時間で企く發芽力を失ひ, 葯の儘貯藏された花粉の發芽率は稍ゝ高かつた。
    (6) 發芽床上で正常の發芽をしたものに水滴を下すと花粉管は破裂して内容物を吐露した。
  • 松本 熊市
    1935 年6 巻2 号 p. 222-229
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 井上 頼數
    1935 年6 巻2 号 p. 230-237
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 熊澤 三郎
    1935 年6 巻2 号 p. 238-247
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1) 1926-32年に於ける宮重蘿〓の内婚の影響, 自殖5代目の系統と Freshstock の種子, 甲析, 生育期の比較, 各系統間の交配の結果, 聖護院蘿〓の1囘自殖の影響に就き試驗した。
    2) 青頸宮重種を自殖し, 白頸種を選出したが, 自殖5代目には Fresh stockの30%内外に弱つて居つた。而して兄妹交配に於いて Heterosis を呈さなかつたが, 系統間の交配は, 兩親平均に對し162%, Fresh stock に對し72%に及んだ。
    3) Heterosis-expression は生育途中に於いて最も著しく, 收穫期は之に亞ぎ, 種子及び甲析時には更に稍著しくない。種子と甲析時と比較すると,甲析時に稍著しい。然し, 之等は環境に依つて支配され, 不良な環境に於いて Heterosis はよく現れる。
    4) 聖護院種の1囘自殖のものを, 自然採種のものに比すると收穫期の重量は約80%である。自殖の影響は母本に依つて異り, 聖護院種では長形のものが甚しい。此品種の丸型の次代を得るには稍扁球の母本を用ふる方が率は高いのであるが, Size や Vigor を考慮すると球形の母本の方が育種の目的に適する事を認めた。
  • 安藤 茂市, 門田 寅太郎
    1935 年6 巻2 号 p. 248-261
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 新潟縣中蒲原郡に於て昭和10年度, 牛蒡の開花結實に就て觀察調査を行つた。
    2. 開花期間は7月中下旬より8月中下旬に及び開花盛期は7月下旬より8月上旬までである。
    3. 1個體平均120内外の頭状花を附け, 1頭状花は平均70内外の筒状花を含む。1頭花の開花期間は2日である。
    4. 開花順序は主莖より下部の枝へと有限的に進み, 1頭花内の筒状花は周圍より中心へと無限的に開花す。
    5. 筒状花の開花は朝より午後1時までに完了し, 自家授精に便なる構造を有す。
    6. 稔實歩合は平均70%内外であり, 自殖他家授粉に依る差異は認め難い。
    7. 分岐枝に依る稔實歩合の差異は認められない。
    8. 大雨は授精を大いに妨げる。
    9. 種子は主莖部のものが一番重く, 1分岐枝上では頂部のものが最も重い。
  • 伊藤 庄次郎
    1935 年6 巻2 号 p. 262-277
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 節成胡瓜の育苗期間に於ける短日の操作時期及期間が其後の生育, 花の形成及結果習性に及す影響を調べた。
    2. 育苗期間の日長は其後の生育及生殖に明な後作用を及した。其成績は從來試驗された生育の全期に亙り操作した場合と略一致した。
    3. 自然日照に於ては晩蒔は早蒔より著しく生育が旺盛となつた。晩蒔に於ては短日の操作期間が長い程生育が抑制され又後期短日の場合も或程度に抑制されたが前期短日はむしろ反對に旺盛となつた。之等の影響は主蔓の伸長よりも側枝の發生及伸長に對し特に顯著であつた。
    4. 生育の旺盛な場合は花期が遲れ雌雄花特に雄花が著しく増え雄性化しそして飛節となつた。
    5. 生育の抑制された場合には花期に入ること早く雄花は著しく減少し雌花も稍減少して明に雌性化しそして節成となつた。
    6. 採種栽培の場合飛節となるのは播種期の遲延に因て育苗期間に,より長き日照を受ける事に因ると思はれる。
    7. 飛節となる環境に於ては節成性に對する變異が極て著しかつた。此事は育種操作上興味ある問題であらう。
  • 飯森 三男, 加幡 胖次郎
    1935 年6 巻2 号 p. 278-287
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    以上の成績を主とし, これ迄施行し來ぐれる著者等の實驗結果を要約すれば次の如し。
    (1) 瓦斯の壓力と脱澁の速度は一定限度以上は大なる影響を認めず, 經濟的には10封度-15封度の間を以て最適とす。
    (2) 品種に依つての脱澁には相當難易あり優良品種中平核無, 横野, 蜂屋, 祗園坊は速かにして田倉, 不知身, 西條は中位, 葉隱最も遲し。概して有核種よりも無核種脱澁容易なるが如し。
    (3) 同一品種中有核果より無核乃至種子の少きものゝ方脱澁速かなる傾向を認む。
    (4) 脱澁は熟度にも亦關係深く, 完熱前1週間前後のもの最も速かにして, 未過熟共に遲し。尚發育不良のもの, 傷果は脱澁著しく困難なり。
    (5) 一度脱澁に失敗せる果實は更に處理するも著しく脱澁を遲らしむ。
    (6) 或程度の補温は之に正比例して脱澁を促進せしむるも度を越ゆう事に依り品質香味を劣變す, 而してこれが適温は C 15゜-25゜とす。
    (7) 柿の成熟期, 即ち11月頃の常温にては脱澁中殆ど重量減を認めざるも, 加温25゜以上に及ぶ時は其の重量を減ず。
    (8) 處理後僅に澁味を感ずる程度のものは數時間放置する事に依つて完全に脱澁す。
    (9) 脱澁後品種に依て表皮黒變するものあるも (横野特に甚だし) 暗黒なる冷所に置く時は1ケ月以上何等變色する事なし。
    (10) 甘柿種の甘化不充分のものは炭酸瓦斯に依り容易に脱澁し得。而して瓦斯に依りたるものは本來のものに比し肉質香味共に著しく優良なり。
  • 川口 正英, 佐宗 久雄
    1935 年6 巻2 号 p. 288-293
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    以上の實驗結果を概括すると
    (1) 供試品種11種中, 廿世紀と菊水, 長十郎と青龍, 廿世紀と祗園, 菊水と祗園の組合せを除く外, 何れも交配親和性を有する。
    (2) 從來報告せられた交配不親和性の組合せの外に新らしく廿世紀と祗園, 菊水と祗園相互間に交配不親和性の傾向が認められた。
    (3) 11品種の栽培に當り之が授粉品種の選擇上に就いて注意すべきことを明にした。
  • 蛭田 正
    1935 年6 巻2 号 p. 294-304
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 筆者は關東州に於て, マンシウズミ外3種砧木に接木せる苹樹の根群比較調査を試みたれば, 茲に其結果を發表せんとす。
    2. 苹樹の根群は其砧木に依つて個有の形質を現はす。
    3. T-R率はマンシウズミを砧木とせるもの最も高く1.5, 次はマルバカイドウ砧のものが0.9オホバズミ及コバズミ砧のものは0.7前後なり。
    4. マルバカイドウ及マンシウズミ砧木の苹樹は深根性にして最深部は2m60cmに達するも, オホバズミ及コバズミ砧木の苹樹は淺根横張性にして,僅かに1mに達するものあるのみなり。而してマルバカイドウ砧苹樹は最も深根性なるも, 深層に達する根量及分布範圍狹く, 且全細根量少きため, 養水分吸收上, 又は寒氣及乾燥抵抗力の點より見ればマンシウズミ砧苹樹が遙かに優るものと認む。
    5. 苹樹砧木價値よりみれば4種の内マンシウズミが最も優れ, 次はマルバカイドウにして, オホバズミ及コバズミは矮性を目的とする場合の外價値無し。
  • 中村 三七郎
    1935 年6 巻2 号 p. 305-317
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) 本實驗に於て根端の採取は3月11日に着手し, 10月21日迄2週間毎に17囘行へり。新梢伸長測定は5月3日に開始し, 10月18日迄1週間毎に行へり。
    (2) 夏橙の根群の活動は4月上旬に初まり, 5月上旬より7月下旬迄最も旺盛にして, 8月に至れば殆ど衰へ, 9月下旬より10月にかけて再び活動す。概して雨期に盛んなり。新梢は5月中下旬に伸長し, 以後伸長を止め, 8月下旬より9月下旬にかけて秋芽伸長す。
    (3) 柿はやゝ遲れて5月下旬に至り根群活動を始め, 10月下旬には甚だ衰へたり。梅雨期に盛んにして8月に衰へ, 9月下旬やゝ旺となる。新梢は5月中旬, 7月下旬及び9月上旬を中心として2-3週間伸長し, 伸長速度も5月7月, 9月の順に盛んなり。
    (4) 枇杷の根群は3月11日には既に活動状態に入り, 10月下旬迄も活動を續く。7月上旬最盛にして, 8月に至り衰ふ。新梢は5月中旬, 7月中旬, 8月下旬より9月上旬にかけ, 各2-3週間伸長し, 5月に於て伸長速度最大なれど, 概して絶えず伸長するものの如し。
    (5) 梨の根群は5月上旬活動期に入り, 8月上旬迄繼續す, 新梢は7月上旬迄に全伸長の殆ど總てを終る。
    (6) 以上の結果より考察するに各果樹の根群は梅雨期及び其前後に於て活動盛んなれども, 新梢は一般に雨期に於て伸長緩慢にして, 梨は梅雨初期に於ては伸長盛んなれども終期に近付くに從ひ伸長緩やかとなる。
    (7) 根群の活動期と新梢伸長期は明かに交互となる。
  • 三輪 忠珍
    1935 年6 巻2 号 p. 318-328
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 土用水蜜桃に環状剥皮, 摘心並除葉を施した際の花芽分化期は夫々次の如し。(京都1931)
    環状剥皮區 7月31日稍ゝ以前 標準區 8月15日頃
    摘心區 8月15日稍ゝ以前 除葉區 8月20日前後
    2. 各區共蕚片期, 花瓣期, 雄蕊期及雌蕊期に達する時期は夫々分化期に略ゝ平行し, 早きものより環状剥皮區, 摘心區, 標準區, 除葉區の順位を保つ。
    3. 花芽の發生經過が進むに從つて各區間の差異は次第に短縮せらるる傾向を示し, 11月中旬となれば形態的に胎ど區別が認められなくなる。
    4. 環状剥皮並摘心は花芽の分化發生現象に對して明かに促進效果を示す。然も環状剥皮は摘心に比し平均2倍近くの效果を齎した。
    5. 除葉は花芽の分化發生現象に對して輕い抑制效果を示す。
    6. 葉芽の發生經過は環状剥皮, 摘心, 除葉等の處理に依て殆ど變化が認められぬ樣である。
  • 第1報 眞黒茄子の生長に關する活動性C, N量-比率
    佐藤 進一
    1935 年6 巻2 号 p. 329-364
    発行日: 1935年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    植物の生長とC,Nとの間に密接なる關係ありとするも, 種々の缺陷を包臓する恐れあるC,Nの實測値を以つて, 何等適正の考慮を拂ふ事無しに, 之れを以つて直ちに其等全實相を知らんとしても, 少なからざる困難の伴ふ場合が往々生じ其の爲めに多岐多樣の説が生じ居れり。
    著者は之等諸説が根元を一にしながら, 而も單に雜然として, 混在する雜多の説なるか, 或は多種の内にも全面的に一貫せる關係を把握し得るものなりや否や, 換言すれば多樣の内にも整然たる, 統一的, 有機的關係を有するものなりや否やを知り, 之れより更に個々の場合を演釋して, 其等の應用的價値をより高めんが爲めに, 何等の缺陷をも含まざる, 理想的のC,Nを想設し, 之れを active C,Nと稱し“C,N”を以つて表示し, 之等と植物體の生長量との關係を考究せり。
    斯くする事に依り, 特定の觀點に立ち, 一完條件の下に於て,理想式 W=K〔C+NmC/Rn〔A〕を設定し, 更に之れを實測値適用に資せんが爲めに,〔a〕條件の下に於て, W=k〔C+N±u〕m〔C/N±v〕n±wの如き關係式を誘導せり。本式は修正項u, v, wの零となるや否や, 即ち起生量Wと; C,Nの量C+N, 比率C/Nに各々修正を要するや否やに依りて, 理論的に8つの場合の生じ得る事を知れり。
    而して之等の内の1つにして, u=0, v=0, w=0 なる場合, 即ち何れにも何等修正項を要せすして, 最も理想的に近き場合の關係式たる W=k〔C+N〕m〔C/N〕n〔B8〕を先年他の目的の爲めに得たる, 眞黒茄子の實驗結果の内,1本當絶對重としての全炭水化物及全窒素並びに新鮮重に適用せり。
    本式適用に當り, C,N被分析材料と, 新鮮重被測定材料が全く同一個體のみにして, 而も被分析材料採收日と, 新鮮重測定日の間に開きの存せざるときは極めて良く合致する事を知れり。
    次にC,N被分析茄子と, 新鮮重被測定茄子とが別個體にして, 且つ被分析材料採收日と, 新鮮重測定日が異なる場合に於ても, 本式適用に依る計算値と實測値との間に可なりの合致度乃至相關度を示して居るものもあれど, 之れを前者に比すれば其等の度合は稍ゝ劣れり。此の點尚充分なる吟味を要する處なり。
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