1991 年 60 巻 1 号 p. 225-230
満開71日後のリンゴ (Malus pumila Mill.'千秋')果実から誘導されたカルスにおけるエチレン生成, 膜透過性ならびに脂肪酸組成に及ぼす低温の影響を調査した. ACC含量, EFE活性, エチレン生成量ならびに呼吸活性が低温処理 (-1°~5°C) によって著しく増加する傾向が認められた. 5°あるいは25°Cに比べて, 障害発生温度域である0°または-1°Cに2日間おいたカルスは,電解質漏出速度および遊離脂肪酸の含量が高かった. すなわち, 0°または-1°Cにおいたカルスにおける膜透過性の増加と遊離脂肪酸の含量の増加との間に密接な関係があると思われた.