園芸学会雑誌
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セイヨウナシ'ル レクチエ'の着果と果実生長に及ぼす受粉およびジベレリン処理の影響
山田 寿中島 圭子山沢 康秀黒井 伊作
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1991 年 60 巻 2 号 p. 267-273

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抄録
セイヨウナシ'ル レクチエ'の結実性をより明確にするために, 自家花粉の和合性および着果や落果波相に及ぼす受粉やGA処理の影響を調査するとともに,これらの処理が果実の肥大や成熟に及ぼす影響についても調査した.
1.他家の花粉管は3日程度で花柱基部に達したのに対して, 自家の花粉管は柱頭から4mm程度のところで伸長を停止した.
2.着果率は他家受粉では40%以上であったのに対して, 自家および無受粉では15%以下であった. しかし, 自家および無受粉でもGA処理を行うことによって着果率が30%台に上昇した.
3.自家および無受粉区では受粉3週間後に落果のピークを迎え, その後も7週間後まで比較的高い落果率を示したのに対して, 他家受粉区では受粉5~6週間後に落果のピークが認められた. また, GA処理区では受粉に関係なく受粉6週間後に落果のピークが見られ, 他家受粉区と同様な波相を示したが若干の収穫前落果が認められた.
4.収穫果の果実重は他家受粉区で最も大きかった.GA処理はいずれの受粉区でも縦径の伸長を促進し, 果形指数を大きくするとともに, ていあ部の異常肥大をもたらした. 果皮色はGA処理区でやや脱緑が進んでいた. 種子数は他家受粉区では7~8個含まれていたが, 自家および無受粉区ではほとんど含まれていなかった.
5.いずれの受粉区ともGA処理区で追熟中のエチレン発生時期が早まり, 追熟日数が短くなった.
6.除雄処理は着果や落果波相, 果実の肥大•成熟にはまったく影響を及ぼさなかった.
以上の結果から, 'ル レクチエ'は強い自家不和合性の品種であり, 単為結果力もあまり強くないことが明らかとなった. さらに, GA処理によって不受精果の着果が誘導され, 果実の成熟が促進されることが示唆された.
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