園芸学会雑誌
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カキ'西村早生'の種子の発育不全について
福井 博一若山 善秋中村 三夫
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1991 年 60 巻 2 号 p. 301-307

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抄録
カキ'西村早生'の自然受粉した雌花を開花後60日目まで継続して無作為に採取し, 胚および胚乳の形態を観察し, 種子の発育不全の過程を検討した.
正常に種子形成をする場合, 受精卵は開花後16日目から分裂を開始し, 開花後30日目には前胚, 40日目には球状胚, 50日目には魚雷型胚, 60日目には縦径が約3mmの子葉型胚となった. 胚乳核は, 開花後4日目には遊離核分裂を開始し, 30日目に細胞質胚乳となった ?? 胚および胚乳には, 三つのタイプの発育異常が観察された. 第1のタイプは開花以前の胚のう発育に由来する発育異常で, その中には胚のうが退化したもの(約16%), 1胚珠内に複数の胚のうが形成されたもの(15%), 開花日において胚のう内の各器官の配置が完成していないもの (3%) が認められ, 1胚珠内の複数胚のう形成と胚のう内の器官の未配置の割合は開花後急速に減少し, 開花後12日目以降羅められなくなった. 第2の発育異常は, 受精後の胚のう内の胚乳核分裂が認められなかったり, 極端に遅延したもので (合計約18%), 第3の発育異常のタイプはある程度発育した胚乳組織が発育不全を起こし退化したもの (開花後30日目で約11%) であった.
開花後8日目までは, これらの発育異常種子と正常種子とを種子長で区別することはできなかった. しかし, 第1および第2のタイプの発育異常種子は, 開花後ほとんど発育しないため, 開花後20日目以降では正常種子と種子長で区別することが可能であった. 第3のタイプの胚乳組織が退化した種子は, 開花後20日目以降に正常に発育している種子の中から発生し, 種子径の分布から第1および2のタイプの未発育の異常種子と正常種子との中間に分布する異常種子がこれに相当すると考えられた.
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