6品種のイチゴ (Fragaria×ananassa Duch. '愛ベリー', '宝交早生', '麗紅', 'とよのか', '女峰', '盛岡16号') の花器, 特に雌ずいの発育様相と果実発育について検討した.
1.雌ずい列数は'愛ベリー'が最も多く, 他の5品種間には大きな差が認められなかった. 花床頂部の雌ずいの子房も'愛ベリー'の上位花が小さく, '宝交早生'が次に小さかったが, 他の4品種では比較的大きかった.花床頂部と基部の雌ずいの子房幅の比 (T/B比) は'愛ベリー'が特に小さかった. 果実先端部の種子不稔による奇形果の発生と雌ずい列数, 頂部子房幅, T/B比との間に強い相関があった.
2.'愛ベリー'では雌ずい列数と頂部子房幅との間に高い負の相関があり, 花粉親である'宝交早生'にも有意な負の相関が認められた. このことから, '愛ベリー'でみられる花床頂部と基部の雌ずいの間の大きな発育差は, 花粉親である'宝交早生'に由来すると考えられる.