園芸学会雑誌
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カキ果実の脱渋機構を解明するための呼吸阻害剤を用いたモデル実験
松尾 友明伊藤 三郎Ruth Ben-Arie
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1991 年 60 巻 2 号 p. 437-442

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抄録
平核無'•'愛宕'•'横野'のようなカキ果は成熟時においてさえも, 著しい渋味を持つ. それ故, 渋味を除去しないと食べられない. 収穫後, 渋味を除くため, アルコール蒸気, 炭酸ガス, 温湯処理などの人為的な処理方法が開発されてきた. しかし, その脱渋機構は未だ不明である.
好気的呼吸を阻害する2種の薬剤, 0.1%ジニトロフェノールと1.0%三酸化砒素が通常の空気の下で脱渋を引き起こすことがわかった. それらの薬剤を吸収した組織は異常な軟化を示さず, 硬いままであったが, 高濃度のエタノールとアセトアルデヒドが蓄積していた.一方, 10mMマロン酸は渋味の除去に効果がなかった.
75°Cで15分間加熱した果実は可溶性タンニンの大部分をそのまま保持したが, アセトアルデヒド処理により不溶化した. しかし, エタノールはそのような作用は示さなかった.
本実験結果と今までの知見から, 炭酸ガス, エタノール蒸気, 温湯浸漬処理による脱渋機構を議論した.
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