園芸学会雑誌
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イチゴ'愛ベリー'の花芽発育と奇形果発生に対する温度の影響
吉田 裕一藤目 幸擴中條 利明
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1991 年 60 巻 3 号 p. 575-581

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抄録

大果系イチゴ (Fragaria×ananassa Duch.) '愛ベリー'の花器および果実の発育に対する温度の影響 (15°, 20°,25°C一定, 25°/15°C=6:00~18:00/18:00~6:00,無加温ガラス室)について検討した.
1.雄ずい分化期までは温度処理区間の花芽発育段階の差はわずかであったが,雌ずい分化期以後の花芽の発育は高温で促進され,特に雌ずいの発育が早かった.
2. 15°Cでは,花床上に形成される雌ずい列数が増加し,花床頂部と基部の雌ずいの発育段階の差が大きくなり,奇形果が多発した.雌ずい分化終了期以後平均気温15°C以下で経過した対照区は,開花期が遅く花芽の発育は抑制されたが,開花期における雌ずいの発育段階の差は小さく,奇形果の発生は15°C区より少なかった.
3. 奇形果発生は20°C区, 25°/15°C区が少なかったが,果実重が小さかった.
以上のことから,平均気温を15°Cより高く維持することが奇形果発生防止のために有効であると考えられる.

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