コンピュータを利用して容器内で培養している小植物体の生長量を, 非破壊•非接触で経時的に計測する簡易な画像解析法を検討した. ビデオカメラで収録した植物体の画像を, 画像取り込みボードを組み込んだ16ビットパーソナルコンピュータで取り込み, 画像面積に占める画素数を計測した. 次いでその画像の画素数と植物の実際の草丈, 葉数, 葉面積, 生体重および乾物重との相関係数を求めた.
1. 試験管で培養中のスパティフィラムを一定距離からさまざまな方位角で撮影し, 1試験管における画像処理数が画像面積と調査項目との相関係数に及ぼす影響について調べた。画像面積と植物の生長量との相関は, 異なる方位角で撮影した複数の画像から得られた平均画像よりも, 画像面積が最も大きい密画面の方が高かった. 密画面では, 植物体の画像面積と葉面積, 草丈, 生体重, 乾物重との間に非常に高い相関が認められた. また画像面積は植物の生長とともに増加し, 画像面積からその植物の乾物重の推定が可能であった.
2.試験管で培養中のミヤコワスレを用いて, ビデオカメラと試験管との俯角が画像面積と調査項目間との相関に及ぼす影響について調べた. ミヤコワスレにおいても密画面の画像面積と植物の草丈, 葉面積, 生体重, 乾物重との間には高い相関が認められた. 特に俯角が0度または20度のときに, 相関が高かった. 俯角が30度ならびに45度ではガラスの歪みなどのために画像がゆがみ, 相関がやや低かった.
3. 容積の大きいプラントボックスにミヤコワスレの複数個体を植え付けて培養した場合も, 群落の画像面積が最大となる1画面を俯角0度または90度で撮影した密画面においては, 画像面積と葉面積, 生体重, 乾物重との相関が高く, 画像解析が可能であった.
以上, 培養容器が異なっても, また植物の種類が変わっても, 0度から20度の俯角で撮影した密画面像面積をコンピューターで計測することにより, 容器内植物の生長量の測定が非破壊•非接触で可能であった.
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