抄録
培養による変異性発現を利用して, イチゴ黒斑病に抵抗性をもつ'盛岡16号'を育成するため, '盛岡16号'の茎頂組織の培養によって誘導したカリクロン植物に,3通りの方法で黒斑病菌 (OH-5) を接種して黒斑病抵抗性株を選抜した.
これらの方法の中で, 殺菌したバーミキュライトを詰めた素焼鉢にカリクロン植物を移植したのち, 黒斑病菌を噴霧接種した1196個体の中から, 3個体の黒斑病抵抗性体が選抜できた.
そこで, これらの3個体にそれぞれ'M16-AR1', 'M16-AR2', 'M16-AR3'の系統名を付し, 草姿や果実特性について調査した. その結果, 草丈, 葉数, 開花期,収穫期および果実の形質などのいずれにおいても, 'M16-AR1', 'M16-AR2', 'M16-AR3'の各系統は'盛岡16号'との間に違いが認められなかった.