園芸学会雑誌
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メロン子葉プロトプラストからの不定芽再分化
田部井 豊西尾 剛菅野 紹雄
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1992 年 61 巻 2 号 p. 317-322

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抄録
メロンの無菌幼植物の子葉から単離したプロトプラストを用いて, 初期分裂に及ぼす植物ホルモンの効果および不定芽再分化に対する各種の植物ホルモンおよび浸透圧調節剤の添加効果について検討し, プロトプラストからの植物体再生を試みた.
1.修正MS培地 (NH4NO3200mg•liter-1,1%ショ糖) に, 2,4-DとBAまたはカイネチンを組み台せてプロトプラストの分裂に及ぼすホルモンの効果を検討したところ, 0.05mg•liter-12,4-Dと0.5mg•liter-1BAで高い分裂率とその後の活発な分裂が観察された.
2.プロトプラストの初期分裂やカルス形成には,供試した浸透圧調節剤の間で明確な差異は認められなかった. しかし, マンニトールとブドウ糖を等モル混合した培地で生育したカルスは, 供試したいずれの再分化培地においても, 最も高い不定芽再分化率を示した.
3.不定芽再分化に対して, 2mg•liter-1BAが5mg•liter-1ゼアチンより有効であり, サイトカイニンとともに用いるホルモンとして0.5mg•liter-1GA3が0.2mg•liter-1IAAより有効であった.
4.最も高率に不定芽を誘導する条件では, 1個のカルス当たり平均3本の不定芽が得られた. しかし再分化した不定芽の多くは形態的な奇形を示し, 正常な伸長をしなかった. そこで, 伸長しない不定芽はその生長点部分を切り出し, MS培地に0.1mg•liter-1BAと0.2mg•liter-1GA3を含む培地で継代培養することにより不定芽の伸長がみられた.
5.不定根の誘導は, 伸長した不定芽をMS培地に1mg•liter-1NAAを含む培地に挿し芽をして24時間培養した後に, ホルモンを含まないMS培地に移植することにより誘導した.
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