園芸学会雑誌
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栽培ギクの核型について
遠藤 元庸稲田 委久子
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1992 年 61 巻 2 号 p. 413-420

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抄録

1.栽培ギクの核型上の特性を明らかにし, あわせて染色体数の変異の生じる機構を究明するための基礎的研究として, 用途や花の大きさ•花型を異にする栽培ギクの17品種1系統 (17品種中1品種は2栽培地で採集) を供試して核型分析を行った.
2.染色体の大きさおよび形態 1) 最大染色体は3.9~5.8μm (平均4.9μm), 最小染色体は1.7~3.3μm (平均2.6μm) であった. 2) 動原体の位置から, 中部 (m), 次中部 (sm), 次端部 (st) および端部 (t) の4種類の型に区別された. 染色体は形態的に変化に乏しく, 指標染色体に適する染色体は少なかった。 3) 付随体染色体は品種当たり通常, 1~4個まれに5~7個みられ, 調査品種の77.8%で観察された.
3.核型分析を行った結果, 核型はm型>sm型>st型の順に多く, t型は全供試品種系統中, 1品種に1個のみであった. 核型構成の特性の一つとしてm型染色体の出現率を栽培ギクの種類 (用途別, 花の大きさ別) ごとに検討した結果, 同一種類内では比較的類似した数値を示した. 栽培ギクの核型構成はいずれの品種も雑種性であることが再確認され, その程度は品種によりかなり異なった.
4.以上の事実から, 栽培ギクにおける広範な染色体数の変異の発生に対し, 雑種性の核型構成であることが一要因となると考えられる. しかも染色体数の変異の発生に関与する程度は栽培ギクの品種の相違により異なると考えられる.

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