園芸学会雑誌
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シュッコンカスミソウ'ブリストル•フェアリー'選抜系統を用いた3度切り栽培法の検討
土井 元章小畑 利光大泉 敬士今西 英雄
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1992 年 61 巻 2 号 p. 421-429

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抄録

中間地におけるシュッコンカスミソウの作期拡大を目的として, 生態的特性の異なる品種•系統を用いた3度切り栽培法の検討を行った.
11月に採花する1番花については,'ブリストル•フェアリー'ではBAを葉面散布することで開花が促された.'ブリストル•フェアリー'13系統では, 最終摘心が遅くなるほど開花率が低下していったが, 9月30日までにBAを処理すると, 100%の開花率が得られた. なお, 早期に開花したシュートでは高温による奇形花の発生が認められた. また, BA処理により得られた切花は短く, ボリュームが劣った.
1番花の切花品質を改善するため, さし芽苗に対して2°Cで40日あるいは55日の低温を処理した後9月中旬に植え付け, BA処理を組み合わせて栽培したところ, 到花日数を70日程度に短縮することができ,11月中下旬にボリュームのある品質のよい切花が得られた.
1番花採花後自然の低温に遭遇させ, シュートの生育を旺盛にして2番花を4月上中旬に得るためには,'ブリストル•フェアリー09系統で50日 (10°C以下800時間) 以上の低温遭遇と, 加えて300ppmのBA処理が必要であった. 2番花採花後, 引き続き無加温下で栽培すると, 自然の開花期より1か月程度遅れて,6月下旬から7月上旬に3番花が開花した.
これらのデータをもとに, シュッコンカスミソウの3度切りのための作型を提示した. すなわち,'レッド•シー'や'ブリストル•フェアリー'09系統, 13系統のような低温要求性の小さい系統をまず選定することが重要であり, これに低温処理や低温の代替作用のあるBA処理を組み合わせて, シュートの生長と開花を促進することにより, 据置株から年間3回の収穫が可能である.

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