園芸学会雑誌
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カキ'富有'の無核果実の結実に及ぼす有核果の影響
北島 宣芥田 英彦吉岡 照高圓谷 徹之中野 幹夫石田 雅士
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1992 年 61 巻 3 号 p. 499-506

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抄録
カキ'富有'の落果発生および無核果実の結実やジベレリン処理による結実促進が不安定な要因を明らかにするために, 受粉, 花粉遮断, 環状剥皮およびジベレリン処理を行った.
樹体の違いにより無核果実の結実や種子形成は大きく異なった. 無核果実の落果は同一樹体における他の果実の種子数が少ないほど抑えられ, 両者には高い相関 (r=0.77) が認められた. また, 環状剥皮処理により剥皮部の癒合時期までは落果は認められず, 多くの無核果実が結実した.
すべての花を花粉遮断した樹体では, ジベレリン処理濃度の高い果実ほど結実が優れた. しかし, 同じジベレリン濃度にもかかわらず, ジベレリン処理した無核果実の結実は他の果実が無核であれば優れ, 他の果実の種子数が多いと劣った.
これらのことから, カキ'富有'の無核果実の結実は, 他の果実の種子数に強く影響を受けることが明らかとなり, おもに果実間の競合により落果が生じるものと考えられた. また, ジベレリン処理による不安定な結実促進効果は有核果実からもたらされるため, ジベレリン処理による無核果実の結実安定には, 花粉遮断処理などによる有核果実の除去が重要であることが明らかとなった.
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