園芸学会雑誌
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カキ'次郎'および'前川次郎'の不完全種子の発現とその大きさ
長谷川 耕二郎永田 広敏
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1993 年 61 巻 4 号 p. 747-755

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抄録
カキ'次郎'および'前川次郎'の不完全種子の発現経過を調査するとともに,その数ならびに大きさを他のカキ数品種と比較検討した.
1.'次郎'および'前川次郎'の不完全種子の厚さは成育初期より完全種子に比べて著しく薄く,7月下旬より部分的に緑色から暗黒色に変色し始め,9月初旬にはほぼ全体が黒みを帯びた色に変色した.
2.不完全種子の数は'次郎'および'前川次郎'で最も多く,次いで'花御所','禅寺丸'であり,'西条','松本早生富有'および'富有'では少なかった.果実内にはこれらの不完全種子とともに完全種子を有する場合と無い場合とがあった.
3.収穫時の不完全種子の幅や長さは完全種子に比べて小さいものから同等の大きさのものまでみられたが,'次郎'および'前川次郎'の不完全種子は他の品種に比べて平均して大きく,また完全種子と変わらないものが多くみられた.しかし,種子の厚さはいずれの品種も完全種子に比べて著しく薄く,種子重の値も小さかった.
4.'次郎'および'前川次郎'の不完全種子には無胚のものが約40~30%みられたが,外観的に正常な完全種子にも無胚のものが約15%認められた.
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