園芸学会雑誌
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ブンタン幼樹の開花と結実に及ぼす秋季の水ストレスの影響
中島 芳和Slamet Susanto長谷川 耕二郎
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1993 年 62 巻 1 号 p. 15-20

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抄録

ハウス栽培のポット植えブンタン幼樹に, 1990年9月上旬から同年12月下旬まで処理期間を変えて水ストレス処理を行った. 樹の水ストレスは自然乾燥によって与え, 葉の水ポテンシャルがかん水停止後7日から13日目に, -24から-28バールに達した時点で充分にかん水した. 同年12月上旬から翌年4月上旬まで, ビニルハウスの最高温度を約25°C, 最低温度を10°Cに調節した.
1.9月上旬から水ストレスを受けた樹では, ほとんど秋枝が発生しなかったが, 10月上旬からの樹および無処理樹では1樹当たり数本の秋枝が発生した.翌年の春枝の発生数とその長さには処理間に有意差が認められなかった.
2.花房数, 花らい数および開花数は水ストレス処理の期間が長くなるにつれて増加した. 開花期は前年に秋枝の発生した樹よりも発生しなかった樹で早くなった. 結実率は直花で0.1~1.1%, 有葉花で4.8~6.0%であったが, それぞれ処理間に有意差を示さなかった.
3.12月下旬の葉分析では, 水ストレスの期間が長くなるにつれて, 糖含量が増加したが, でんぷん含量は逆に滅少した. 同葉の窒素含量は無処理樹よりも水ストレス処理樹で有意的に高くなった. 12月下旬の葉のC-N率は処理間に有意差を示さなかった.

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