園芸学会雑誌
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モモ果実のポリフェノール含量に及ぼす樹勢の影響
久保田 尚浩高木 真吾工藤 正吾
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1993 年 62 巻 1 号 p. 83-88

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抄録
モモ果実における渋味の発生要因の解明ならびにその防止策を確立するための基礎資料を得ることを目的として,渋味発生と樹勢との関係を調査した.
同一園内に栽植されている成木の'白桃'の中から,新梢長や葉数から判断して樹勢衰弱樹および健全樹を選び,その成熟果実のポリフェノール含量を調査したところ,両者の間に大きな差はなかった.
3本主枝の'白桃'成木において,1樹内で環状はく皮状になった主枝または成熟直前に落葉した主枝の果実は,各々の健全な主枝の果実に比べてポリフェノール含量が多く,特に環状はく皮状になった主枝で著しく多かった.
'清水白桃'の側枝について果実発育の第1期,第2期および第3期に環状はく皮を行ったところ,第1期と第2期の処理でポリフェノール含量が増加し,またPAL活性も高まった.
以上の結果から,モモ果実の渋味発生には,単なる老化による樹勢の衰弱よりも環状はく皮のような樹勢低下の一因となるある種のストレスの影響の方が大きく関係していると思われた.
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