園芸学会雑誌
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カキ'西村早生'の根端細胞分裂の季節変化
福井 博一望月 啓司中村 三夫
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1993 年 62 巻 2 号 p. 359-362

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抄録

根端組織の細胞分裂を根の生長の指標に用いて, カキの根の生長を再検討した. 15年生'西村早生'20本を用い, 無作為に40本の根端を定期的に採取し, 0°Cで24時間低温処理を行った後, 根端細胞を検鏡して, 細胞分裂指数を算出した.
採取した根には黒色根と白色根の2種類があり, そのいずれについても根端細胞の細胞分裂が観察された.5月20日まではすべての根が黒色根であったが, 5月30日以降に白色根が観察され始め, 6月14日には全体の58%を白色根が占めていた. しかし, その後白色根の割合は減少し, 9月28日には再びすべてが黒色根となった.
黒色根と白色根での細胞分裂の消長は両者間で明らかに異なり, 5月までの細胞分裂は黒色根で, それ以降での細胞分裂は白色根で行われていた. 細胞分裂指数は4月初旬までは極めて低い値で推移したが, それ以降増加し, 6月中旬に最も高くなった後, 徐々に低下し, 10月には0となった.
根の細胞分裂は12°C前後から開始され, 気温の上昇に伴い盛んとなり, 平均気温が30°Cに達しても衰えることはなかった. また, 根での細胞分裂は降水量に大きく影響されなかった.

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