園芸学会雑誌
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ブドウ'藤稔'果実の糖, 有機酸アミノ酸およびアントシアニン含量に及ぼす各種台木の影響
久保田 尚浩李 相根安井 公一
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1993 年 62 巻 2 号 p. 363-370

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抄録

ブドウ栽培における好適な台木品種の選定に資するための基礎資料を得ることを目的として, 3309,3306,101-14,5C, 8B, SO•4および420Aの計7種類の台木に接いだコンテナ植え藤稔3年生樹を供試し, 果粒の肥大や糖, 有機酸, アミノ酸およびアントシアニンの含量を調査した. 果粒肥大は3309,101-14,3306の各台樹で優れ, 8Bと420Aの両台樹で劣った.8Bでは有核果率が著しく低かった. 屈折計示度は8B台樹で最も高く, ついで3309,3306, SO•4台樹の順で優れ, 一方101-14,5Cおよび420Aの各台樹では低かった. 果肉, 果皮ともにブドウ糖と果糖からなり, 果肉では両者とも3309,3306および8Bの各台樹で多く, 420Aと101-14の両台樹で少なかったが,果皮では101-14と5Cの両台樹で多く, 420A, 3309などの台樹で少なかった. 滴定酸含量は101-14台樹で多く, 8B, 420Aおよび3306の各台樹で少なかった. 果肉, 果皮ともに酒石酸とリンゴ酸からなり, 酒石酸は101-14台樹で多く, 8B, 420Aなどの台樹で少なかったが, リンゴ酸には差がなかった. 総アミノ酸含量は3306,5C, 8B, SO•4などの台樹で多く,3309台樹で最も少なかった. その組成比に台樹間差は認められず, 主なアミノ酸はアラニン, アルギニン,グルタミンおよびγ一アミノ酪酸で, この4種で全体の7割以上を占めた. 果皮のアントシアニン含量は3306台樹で最も多く, ついで8B, 3309台樹の順で,101-14台樹では著しく少なかった.

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