抄録
ハナタバコ (Nicotiana × Sanderae Hort) とハボタン (Brassica oleracea var. acephala DC) の形質転換が,Agrobacterium tumefaciensとA. rhizogenesベクターシステムを用いて試験された. プラスミドpBI 121 (β-Glucuronidase (GUS) 遺伝子とカナマイシン抵抗性遺伝子を含む) がtri-parental matingまたは凍結-融解法を用いてAgrobacteriumに導入された.
pBI 121を有するA. tumefaciensがハナタバコのリーフディスクに接種された後, 植物ホルモン, カナマイシン硫酸塩およびカルベニシリンナトリウムを含むMurashige-Skoog (MS) 培地で培養された. その結果リーフディスクの周辺から6個のカルスが生じ, それらより茎葉が10本分化した. このうち9本が5-bromo-4-chbro-3-indolyl glucuronide (X-gluc) 試薬に反応し, 植物細胞にGUS遺伝子が導入されたことが示唆された. これらの茎葉は, カナマイシン硫酸塩を含むMS培地で生き続けたが, 菌を接種していないリーフディスクから再生した茎葉は枯死した. これらの結果から9個の茎葉は, pBI 121が導入された形質転換体と考えられた.
pBI 121を有するA. rhizogenesがハボタンの葉柄に接種された. その結果10本の根が生じたが, 2本の根だけがX-glucに反応した. この2本の根は, 植物ホルモンとカルベニシリンナトリウムを含むMS培地で培養したところ5本の茎葉が生じた. すべての茎葉は再びX-glucにおよび他の試薬, 4-methyl umbel-hferyl glucuronide (MUG) に反応した. これらの茎葉はカナマイシン硫酸塩を含むMS培地で生き続けた.これらの結果から5本の茎葉は形質転換体と判断された.