園芸学会雑誌
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各種野菜実生の生長に及ぼすVA菌根菌接種の影響
松原 陽一原田 隆八鍬 利郎
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1994 年 63 巻 3 号 p. 619-628

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抄録
8科17種類の野菜の芽生えの根にVAM菌(Glomus etunicatumおよびGlomus intraradicesの2菌種) を接種し, 感染の有無と感染が植物体生長に及ぼす影響について調べた.
1.ネギ, アスパラガス, サヤエンドウ, セルリー,およびキュウリにおいてVAM菌接種による茎葉の伸長促進効果が大きく現れた. セルリーおよびキュウリなどでは菌種によって効果に差が認められた. また,ネギでは接種により葉身および葉鞘が肥大し, アスパラガスでは茎数および根茎のりん芽数が増加した.2.VAM菌接種区では, 地上部および地下部の生体重が増加した. 地下部生体重の増加は, 供試した大部分の野菜では根数の増加のみによるとみられたが,ネギとアスパラガスでは根数の増加および根の肥大の両方によると判断された.
3.VAM菌感染は両菌種とも, 7科16種類の野菜(アブラナ科のハクサイを除く) で認められ, 感染部位率は接種効果が大きく現れた野菜において高くなった. ネギを除く他の野菜においては, 感染は側根において認められた. また, 感染は皮層において観察され,根冠にはみられなかった. また, 接種効果が大きく現れた野菜では, 菌の共生器官である嚢状体の数が増加し, さらに嚢状体が肥大するのが特徴であった.
4.菌根依存性 ((接種区における10個体の総乾物重/無接種区における10個体の総乾物重) ×100 (%)によって算出) は, 感染が認められた7科のうちユリ科 (ネギおよびアスパラガス) で最大となった.
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