日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
喉頭肉芽腫64例の臨床的検討
橘 智靖折田 頼尚牧野 琢丸小河原 悠哉松山 祐子清水 藍子中田 道広丸中 秀格西﨑 和則
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2016 年 119 巻 6 号 p. 860-866

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抄録
 喉頭肉芽腫症例64例を対象に, 臨床学的諸因子が治療経過に及ぼす影響, および Grading の有用性について検討を行った. Grading は Wang らが提唱した分類にしたがって, 声帯突起より後方に限局しているものを Grade I, 声帯突起を超えて前方に進展するものを Grade II とした. 男性54例, 女性10例, 平均年齢は54.8歳であった. 喫煙習慣は41.3%, 飲酒習慣は54.7%に認めた. BMI は平均23.1であった. 胃食道逆流症は17.2%に認め, 気管内挿管歴は12.5%に認めた. 保存的治療で病変の消失が得られない症例に対して外科的切除を行った. 67.5%に術後の再発を認めた. 最終的に消失が得られた症例は79.7%であった. 術後の再発率は男性が女性に比べ有意に高く (p=0.0268), 60歳未満は60歳以上に比べ術後再発しやすい傾向にあった (p=0.0601). 最終的な消失率に関して, 60歳以上, BMI 23未満, Grade I は, 60歳未満, BMI 23以上, Grade IIに比べ有意に高かった (p=0.0284, 0.0103, 0.0001). 多変量解析においても, Grade I と Grade II の間に有意差を認めた (p=0.0032). Grading を行うことによって, 最終的な消失を予測する因子となり得ることが示唆された. また年齢, 性別, BMI は喉頭肉芽腫の経過を予測する因子となる可能性が示唆された. 
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© 2016 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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