抄録
カンキツにおける雌性不稔性, 雄性不稔性および自家不和合性と含核数との関係をカンキツ22品種を用いて調査した.
1.自然受粉区と人工受粉区の含核数との間には正の相関 (r=0.927**, r2=0.859) が認められた. 人工受粉区の含核数は雌性不稔性の程度を表わしていると考えられることから, 雌性不稔性は自然受粉果の含核数に強い影響を及ぼしていることが推察できた.
2.人工受粉果の含核数に対する自然受粉果の含核数の割合は, 自家和合性品種より雄性不稔性品種および自家不和合性品種で低く, 雄性不稔性および自家不和合性は, 含核数を減少させる効果があることが確認できた.
3.一部の自家不和合性品種の人工受粉果に対する自然受粉果の含核数の割合は, 自家和合性品種と同程度であった. これらの品種においては無核果がほとんど結実していなかった. これは, 単為結果性の欠如のため, 有核果のみが結実したので, このような結果になったものと考えられた.