園芸学会雑誌
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VA菌根菌がウンシュウミカン結実樹の樹体生長, 光合成, 蒸散, ならびに光合成産物の分配に及ぼす影響
Yogesh Hari Shrestha石井 孝昭門屋 一臣
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1995 年 64 巻 3 号 p. 517-525

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抄録
数種類のVA菌根菌が, ウンシュウミカン (興津早生) 4年生結実樹 (カラタチ台) の樹体生艮, 光合成,蒸散, ならびに光合成産物の分配に及ほす影響を, リン酸少量施用土壌において実験開始2年後に調査した.菌根菌接種区では, 菌根菌無接種区と比べて, 葉内のリン濃度は高く, 樹体生長も良好となる傾向がみられた. 8月の高温時における光合成および蒸散速度は,菌根菌接種区の方が無接種区に比べて高かったが, 気温が低下した9月では, 両区の光合成速度や蒸散速度の間には明らかな有意差は観察されなかった.10月に最適な温度条件下で樹体に13CO2をとりこませ, 13Cの分布と移行量を調査したところ, 両区ともに, 果実への分配率が最大で, 葉への分配率がこれに次いだ. 13Cの分布についてはいずれの器官においても両区間に明らかな有意差はなく, 単位葉面積当たりの13C同化量にも差はなかった. なお, 菌根菌接種区の全葉面積は無接種区の3倍で, 1樹当たりの13C同化量も3倍に近かった.
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