園芸学会雑誌
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施設栽培の早生ウンシュウミカンの夏枝の花芽分化に伴う炭水化物, α-アミラーゼ活性, インドール酢酸およびジベレリン様物質の変化
矢羽田 第二郎大庭 義材桑原 実
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1995 年 64 巻 3 号 p. 527-533

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抄録

早期加温栽培の'上野早生'を供試して, 秋季に花芽分化が進行しているウンシュウミカンの夏枝内の炭水化物含量, α-アミラーゼ活性, IAAおよびGA様物質の変化を, 芽, 葉柄などの部位別に調査した.
1. 10月中旬から12月上旬にかけて, 約2週間おきに切り取った夏枝を摘葉し, 150ppmのBA水溶液で処理後, 水挿しして28°Cの定温器内に置き, 花芽分化の程度を調べた. 10月中旬に採取した夏枝からは発育枝のみが発生し, 花らいはみられなかったが, 11月上旬になるとかなりの花らいの発生が認められた. このことより, 生理的花芽分化の開始期は10月下旬であると考えられた. その後, 11月中旬~12月上旬の切り枝では, 花らい数が急速に増加した.
2. 夏枝内のデンプンは10月中旬から11月上旬にかけて急激に増加したが, 糖は10月中旬から11月中旬にかけて減少した. その後12月上旬までに, デンプンが葉身と枝内で減少し, 糖は夏枝の各部位で急速に増加した. 生理的な花芽分化の進行と夏枝内の炭水化物の消長間には, 一定の対応関係は認められなかった.
3. α-アミラーゼ活性は, 11月上旬に一旦低下したが, 11月中旬以降に再び増加した. 部位別にみると, 葉身における活性は葉柄, 芽, 枝に比べて低かつたが, 変動の程度は他の部位よりも大きかった.
4. 10月中旬と11月上旬には, 芽のGA様活性が比較的高かったが, 葉柄では低いままであった. さらに, IAA含量も10月中旬には芽で多かったが, その後, 11月中旬までに減少した.

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