園芸学会雑誌
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カキの品種同定のためのRAPD分析
羅 正栄米森 敬三杉浦 明
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1995 年 64 巻 3 号 p. 535-541

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抄録

カキでのRAPD分析条件とそれによる品種同定の可能性をOperon社の10塩基primerを用いて検討した. RAPD条件として, Leviら (1993) が使用したgelatinおよびTriton-X 100を高濃度で含むバッファーを用い, 12.5μlの反応液の組成をDNA polymerase 0.06units•μl-1, MgC12 2.0mM, primer 0.28μM, dNTP 0.1mMとし, DNA濃度を5ng•μl-1, 反応温度およびそのサイクルを変性温度94°C (1min), アニーリング温度45°C (1min), 伸長反応温度72°C(2min) で45サイクルとすることで鮮明なRAPDのバンディングパターンを再現性よく得ることができた. この条件により, OPA-01からOPA-20までの20種のprimerを用いてカキ15品種のRAPDを調査したところ, OPA-06 (5'-GGTCCCTGAC-3') とOPA-08 (5'-GTGACGTAGG3') では特に多くの多型が認められ, 供試した15品種それぞれが異なったバンディングパターンを示した. さらに, OPA-06により'平核無'とその枝変わり品種である'刀根早生', '杉田早生'のRAPDを分析したところ, これらの品種間で得られる増幅産物に差異が認められた. また, カキの品種間ではほとんど多型が出現しなかったOPA-10を用い, 11種のカキ属植物についてその多型を分析したところ, それぞれの種において特有のバンディングパターンを示した. このように, RAPD分析はカキの品種間および種間の多型検出に有効な手段となりうることが示唆され, 今後の実用的な利用が期待された.

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