抄録
著者らは,マレイシア農業開発研究所(MARDI)の協力によってマレイシアより収集した60系統のナス(Solanum melongena)について,青枯病および半身萎ちょう病に対する抵抗性素材を見い出すため,両病害に対する抵抗性検定を実施した.また有望系統に関しては半枯病抵抗性検定を実施した.
1)青枯病汚染圃場を用いた検定の結果,供試したナス系統の約60%が抵抗性を示した.さらに,これらの抵抗性系統の中でより高度な抵抗性を有する系統を選抜するため,強度の接種条件(菌濃度1.5~3.0×1010cell•ml-1)で幼植物検定を行ったところ,LS1934は最も高度な抵抗性を示した.
2)半身萎ちょう病の幼植物接種検定の結果,供試した約80%の系統がり病性であり,免疫あるいは完全な抵抗性を示した系統は見い出せなかった.部分的な抵抗性を示した系統の抵抗性程度には差異が認められ,複数回の再検定により,LS2436は相対的に高い抵抗性を示すことが確認された.なお,LS2436は青枯病汚染圃場検定で青枯病にも抵抗性であった.
3)LS1934およびLS2436の半枯病抵抗性を調べるために,幼植物接種検定を行ったところ,両系統ともに抵抗性であることが判明した.
以上,青枯病および半枯病に抵抗性を示すLS1934,半身萎ちょう病,青枯病及び半枯病に抵抗性を示すLS2436の2系統の有望な育種素材を,マレイシアで収集したナスの中から見い出すことができた.