抄録
培養によって増殖したササユリ小球を定植してから開花までの期間を短縮するために,液体振とう培養において,球根肥大を促進する条件,とくに培地に添加する糖および培養温度について検討した.
ショ糖,マルトースおよびブドウ糖をMS培地に添加して球根肥大を調査した.ショ糖は吸収される前に培地中でブドウ糖と果糖に分解され,ショ糖6%添加区ではブドウ糖と果糖の生成量がその吸収量より多いため培地の浸透圧が上昇し,球根の肥大を阻害する現象がみられた.マルトースはほとんど吸収されず,球根の肥大もほとんどみられなかった.培地に用いる糖としては,ブドウ糖が最も適しており,3%が適量であった.
培養温度については25°Cに比べて20°Cで肥大が良好であった.これは25°Cでは,吸收した糖を呼吸により消耗したためであると考えられる.
20°Cで培養した球根を0°Cで3か月間低温処理した後定植すると,発芽率および抽だい率が高かった.