抄録
リンゴからPCRによってホメオボックス遺伝子の保存領域の単離を試みたところ, 塩基配列の異なる2種類の部分配列が得られ, これらをAPHB1, APHB2と名付けた.両者は塩基配列で40.7%の相同性を示し, それぞれトウモロコシやイネのclass I, class IIと呼ばれるホメオボックス遺伝子群との間に高い相同性が認められた.実際にリンゴから得られた2つの遺伝子の発現をRT-PCRによって解析したところ, それぞれclass I, class II型の遺伝子群とよく似た発現パターンを示した.以上の結果から, リンゴには少なくとも2種類のホメオボックス遺伝子が存在し, それぞれ異なる形態形成についてその調節に関与している可能性が示唆された.