1998 年 67 巻 4 号 p. 600-606
土壌水分含量がミニトマトの果実の色と色素含量に与える影響を, 果色の異なる4品種を供試して検討した.春・秋作の'ミニキャロル'(果色 : 赤色)と秋作の'チェリーピンク'(桃色)において, 土壌水分制限によって着色が著しく促進された.ほとんどの品種において, 土壌水分制限により完熟果の色相角度が低下し, また彩度が高くなり果色が良好になった.果色に与える土壌水分の影響は春作より秋作で顕著であった.しかし'オレンジキャロル'(黄橙色)では春・秋作共に果色に影響は認められなかった.赤および桃色型品種において, 完熟果の生体重当たりの有色カロチン含量は土壌水分制限によって増加した.また土壌水分制限によって完熟果の有色カロチンに占めるリコピンの生成割合は高くなった.一方'イエローキャロル'(黄色)の生体当たりのβ-カロチン含量は土壌水分制限により増加した.しかし'オレンジキャロル'のβ-カロチン含量には土壌水分制限処理による影響は認められなかった.