抄録
2時間予冷したバラ切り花'ブライダル・ピンク'(Rosa hybrida L. 'Bridal Pink')を供試し, 5℃あるいは20℃で, 0, 24, 48, 72時間の乾式および湿式輸送をシミュレートした.脱塩水にいけて20℃で品質保持期間を測定したところ, 輸送を行わなかった切り花の品質保持期間は9.2日であった.乾式輸送した場合には, 20℃では24時間以上, 5℃では48時間以上の輸送を行うと切り花にベントネックが発生し, これらの切り花の品質保持期間は短くなった.切り花を試験管にさして湿式輸送をシミュレートすると, 特に5℃輸送では, 輸送中に切り花新鮮重の減少がみられず, 輸送後の品質が長時間保持された.しかし, 20℃の湿式輸送では, 輸送中に開花が進み問題となった.湿式輸送期間を利用して0.1M果糖+0.3mM 8-hydroxyquinoline sulfate溶液による72時間の前処理の効果をみた結果, 乾式輸送に比べて2倍以上の品質保持期間を得ることができた.吸水綿を入れたピックル(フラワー・メイト, CI化成, 東京)を花束基部に付けて湿式箱詰め輸送をシミュレートしても, 湿式バケツ輸送と同等の品質保持効果が得られた.