園芸学会雑誌
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深夜照明と培養液からの NO3- 除去が水耕ホウレンソウの生育と葉の汁液中 NO3- 濃度に及ぼす影響
福田 直也宮城 慎鈴木 洋二池田 英男高柳 謙治
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1999 年 68 巻 1 号 p. 146-151

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抄録
ホウレンソウを水耕し, 収穫可能な大きさになってからNO3-を含まない培養液を与え, 同時に行った深夜(23時∿6時)照明とともに, 生育ならびに汁液中NO3-濃度と硝酸還元酵素活性(NRA)に及ぼす影響を調査した.1) 地上部新鮮重は, 処理後2日目ではNO3-の有無に左右されなかった.しかし, NO3-除去開始後4日目以降は地上部の生育は遅れ, 7日目にはNO3-除去区平均でNO3-施与区平均の57%となり, 培養液のNO3-除去の影響は明らかであった.一方, 生育に対する深夜照明の光質の影響は明確ではなかった.2) 葉身, 葉柄の汁液中NO3-濃度は, 培養液のNO3-除去開始後速やかに低下したが, その程度は照明区では無照明区より大きかった.しかし, 照明の光質の影響は明瞭ではなかった.一方, 汁液中NO3-濃度は深夜照明の光強度に影響され, 葉身の場合, NO3-除去後2日目の無照明区で1059ppmであったのに対して, 50, 150, 250μmol・m-2・s-1(PPFD)の各光強度では, それぞれ, 799, 612, 531ppmになった.3) NRAは, 無照明ではNO3-除去後時間の経過とともに低下した.しかし, 照明区では, 深夜照明中のNRAは維持され, 無照明区よりも高くなる傾向を示した.
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