園芸学会雑誌
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グラジオラス花色変異区分キメラの子房培養による解消
霞 正一高津 康正友常 秀彦佐久間 文雄飯田 修一
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1999 年 68 巻 1 号 p. 195-197

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抄録

グラジオラス'トラベラー'の木子へのガンマ線照射により1本の花茎が途中から2本に分岐し, 一つの花茎はすべての小花の花色が原品種'トラベラー'と同じ桃色, 他方の花茎はすべての小花の花色が淡桃色に変異した1個体を得た.この個体の区分キメラの解消を目的に, 子房培養した.桃色の小花の子房由来個体はすべて原品種'トラベラー'と同一の桃色の小花になった.一方淡桃色の小花由来個体は52個体のうち, 35個体(67.3%)が淡桃色に変異した小花と同一の淡桃色となった.しかし他の17個体(32.7%)は原品種'トラベラー'と同一の桃色となった.いずれも区分キメラとなった個体は得られなかった.区分キメラでなかった淡桃色個体をそのまま分球や木子により栄養繁殖した63個体は, すべて区分キメラでない淡桃色の個体であった.よって, グラジオラスの小花1個分以上の大きさの花色変異区分キメラ個体のキメラ解消法として子房培養が有効であると認められた.

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