園芸学会雑誌
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トレニアの花の老化におけるエチレンの役割
後藤 理恵間 竜太郎柴田 道夫市村 一雄
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1999 年 68 巻 2 号 p. 263-268

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抄録
トレニアの花の老化とエチレンとの関係について調べた.花のエチレン生成量は老化にともない増加した.老化にともなう器官別のエチレン生成量を調べたところ, 雌ずいでは老化にともない増加したが, 花冠, 雄ずいおよびがくでは, 老化にともなう増加はみられなかった.花のエチレン感受性を明らかにするため, 鉢植えの株をエチレン(2および20μl・liter-1)で6時間処理した.落花は, 開花当日の花ではほとんど促進されなかったが, 開花後の日数が経過した花では促進された.これより, 花の老化にともないエチレン感受性が増加することが判明した.落花は受粉および柱頭を傷つけることにより著しく促進された.これらの処理によりエチレン生成量は著しく増加した.このときのエチレンは大部分が雌ずいとくに花柱から生成されており, 花冠からの生成量はわずかであった.エチレン作用阻害剤であるチオ硫酸銀錯塩(2mM)の散布処理は, 受粉および柱頭傷害の有無にかかわらず, 花の寿命を著しく延長させた.以上の結果より, トレニアの花の老化にはエチレンが関与していることが明らかとなった.
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