園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
セイヨウナシ果実における ACC 酸化酵素の精製と性質および成熟過程における活性増大
加藤 雅也兵藤 宏
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 68 巻 3 号 p. 551-557

詳細
抄録
低温処理して追熟を誘導させたセイヨウナシ(Pyrus communis L. cv. La France)果実を本研究に使用した.ACC酸化酵素活性とエチレン生成量は, 果実の成熟過程(20℃)において急速に増大した.クライマクテリック段階のセイヨウナシ果実から抽出されたACC酸化酵素はほぼ均一にまで精製された.その分子量はSDS-PAGEから40kDaであることが推定された.ウエスタンブロット分析においてセイヨウナシのACC酸化酵素は, 形質転換された大腸菌から精製されたACC酸化酵素に対する抗体により認識された.精製したセイヨウナシ果実のACC酸化酵素の基質ACCとO2に対するKm値は, それぞれ42.2μMと0.53%であった.補基質であるアスコルビン酸に対する最適濃度は15mMであり, Km値は1.9mMであった.補因子であるFe2+とHCO3-に対するACC酸化酵素の最適濃度は, それぞれ25μMと30mMであり, HCO3-に対するKm値は3.8mMであった.これらの酵素学的性質は, 他の植物由来のACC酸化酵素の性質と類似していた.
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top