抄録
ピーマン(Capsicum annuum L.の甘味種)の青枯病抵抗性素材を見いだすために, ピーマン74品種, トウガラシ59品種およびトウガラシ属近緑種63品種の抵抗性検定を行った.各植物体を青枯病汚染圃場に定植し, 青枯病原細菌懸濁液を灌注接種し, 0(無病徴)∿4(枯死)の5段階の発病評点で抵抗性を評価した.また, 発病評点が1以下の品種については幼苗接種によって青枯病抵抗性を検定した.ピーマン, トウガラシおよびトウガラシ近緑種それぞれに強度の抵抗性品種が認められ, ピーマンでは実用F1品種にまで抵抗性のものが認められた.従って, ピーマンの青枯病汚染地帯では本試験で明らかとなった抵抗性品種を利用することにより青枯病を防除することが可能である.ピーマン型の抵抗性15品種のうち14品種は育成過程で'三重みどり'または'三重みどり'を親として用いた品種が使用されていることから, これら品種の抵抗性は'三重みどり'に由来する可能性が高いと考えられた.ピーマンおよびトウガラシでは, 中程度以上の抵抗性を示した品種のすべてが日本, 中国, バングラディシュなど東アジア地域の育成種または在来種であり, 米国, メキシコなど他の地域からの品種に抵抗性のものは認められなかった.