園芸学会雑誌
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キュウリ果実の水ストレス誘導ポリガラクツロナーゼ遺伝子の発現解析
久保 康隆薜 彦斌中務 明マソホーコ フランシス M.稲葉 昭次中村 怜之輔
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2000 年 69 巻 3 号 p. 273-279

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抄録
収穫後の水分損失ストレスに対するキュウリ果実の生理学的反応を調査した.低湿環境にさらした果実から, RT-PCR法を用いてポリガラクツロナーゼをコードする遺伝子としてCUPG1をクローニングした.RACE-PCR法によって全鎖長遺伝子の塩基および推定アミノ酸配列を決定したところ, CUPG1は435のアミノ酸から成り, 既報のPG遺伝子に保存されている領域を含んでいた.この遺伝子は水ストレスおよび外生エチレンによって発現が誘導されたが, ABA処理には反応しなかった.水ストレスによるCUPG1mRNAの蓄積がエチレン作用の阻害剤であるMCPの前処理によって約半分に抑制されたことから, 乾燥によるCUPG1の発現は, 水ストレスによる直接的およびエチレンを介した間接的誘導機構の両者によって制御されているものと推測された.これらの結果から, 収穫後のキュウリ果実の水分損失は単に物理的変化を引き起こすだけでなく, CUPG1の発現誘導を含む生理学的な反応につながるものと結論した.
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