園芸学会雑誌
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種々の低酸素濃度下におけるピーマン果実のアルコール発酵関連酵素活性とその生成物およびアルコール脱水素酵素遺伝子の転写
今堀 義洋甲田 美香古川 一上田 悦範茶珍 和雄
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2000 年 69 巻 3 号 p. 266-272

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抄録
1%, 3%, 5%, 10%O2雰囲気および空気下で20℃貯蔵したピーマン果実中のエタノールおよびアセトアルデヒド濃度は非常に低かったが, 0%O2雰囲気ではこれらの成分が果実組織中に急速に増加した.エタノール濃度はアセトアルデヒド濃度より高かった.貯蔵中のピーマン果実のアルコール脱水素酵素(ADH)活性は, ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)活性の約10倍であった.ADHの活性は, 1%および3%O2雰囲気で著しく増加したが, 0%, 5%および10%O2にさらされた果実における活性の増加はわずかであった.PDC活性は, 1%, 3%および5%O2貯蔵で著しく増加したが, 0%および10%O2貯蔵果実ではわずかな増加にとどまった.20℃貯蔵1日で1%O2にさらされた果実のADH転写量は, 0%および3%O2にさらされた果実に比べて著しく多かった.一方, 5%, 10%O2および空気下にさらされた果実では, ADHの転写は認められなかった.酵素活性とその生成物量との矛盾についても議論した.
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