園芸学会雑誌
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トマトの開花期における小花柄の脱離過程
田淵 俊人伊藤 信二新井 紀子
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2001 年 70 巻 1 号 p. 63-65

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抄録
トマトの開花期における小花柄の脱離過程を解剖学的に調べた.その結果, 除雄処理後6日目には小花柄の脱離が認められ, 14日目には全ての小花柄が脱離した.除雄処理後6日目には離層の表皮細胞の基部側組織が膨張した.これらの膨張した細胞群は, 除雄後日数の経過に伴って離層の表皮部全体, 皮層部, 維管束部, そして最終的には中心部柔組織にも認められた.その過程において, 膨張した細胞はミドルラメラの部分が溶解して互いに分離し, 細胞間空隙を形成した.したがって, トマトの開花期における小花柄の脱離は, 離層の表皮に生じた細胞の膨張によって細胞間に空隙を生じ, これらの細胞間空隙が小花柄の中心部柔組織に向かって進行することによって離層細胞が分離することが明らかになった.
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